ドローン物流が注目される背景

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農業や林業、建設業などさまざまな業界でドローンの活用に注目が集まっています。物流業界においても例外ではなく、業界に介在するさまざまな課題の解決につながると期待されています。

高齢化による人手不足

日本の少子高齢化は著しく、大きな社会問題となっています。それに伴い労働人口も減少の一途をたどっており、物流業界においても深刻な人手不足を招いているのが現状です。

国土交通省が公開している資料「トラック運送業の現状等について」を見てみましょう。同資料によると、トラックドライバーの有効求人倍率は平成30年4月時点で2.68となっています。これは職を探す人よりも、人材を求める企業の方が多いことを示しています。

また、トラック業界における就業者の約45.2%は40~54歳で、29歳以下は全体の10%以下との調査結果からも、高齢化が進んでいることは明らかです。

ネットショッピングの普及による需要上昇

インターネットやモバイル端末が普及し、それに伴いECサイトの数も爆発的に増えました。現在では、誰もが日常的にネットショッピングを利用する時代です。ユーザーの生活がより快適かつ便利になった反面、物流事業を営む企業の多くが業務量の増加に頭を抱えることになりました。

ネットショッピングが広く普及したことで、個人宅への小口荷物配送が増えたことが大きな問題です。従来よりも1日あたりの配達件数が大幅に増加し、従業員にも過度な負担が生じています。

再配達による業務負担の増加

物流企業を悩ませる問題のひとつが再配達です。荷物を届けに訪れたにもかかわらず不在となると、再度配達に足を運ばなくてはならず、二度手間が発生します。場合によっては、再配達どころか再々配達になることもあり、余計な業務負担が増加してしまいます。

国土交通省が公表した「実態調査に基づく再配達率の推移」によれば、令和2年10月時点で11.4%が再配達になっており、令和3年10月では11.9%、令和4年4月では11.7%との結果です。

ユーザーにとって再配達は便利なサービスですが、物流企業にとってはできるだけ削減したいのが本音です。再配達が多いと、余計な燃料を消費することになるばかりか、業務の非効率化も招きます。従業員にかかる負担も増えてしまうなど、再配達の増加が及ぼす影響は決して小さくありません。

迅速な配送スピードに対する需要の拡大

ネットショップやECサイトが増加したことで、競争もどんどん激化しています。ほかのECサイトと差別化を図るべく、即日発送や翌日配送などをアピールするところも増えました。

スピード感ある配送が求められるようになった結果、物流企業にしわ寄せがきているのが現状です。期日に間に合わせなくてはならないことから、ドライバーは精神的なプレッシャーを抱え、間に合わなかったときには直接クレームを受けることもあります。

また、近年は物流量の増加に伴う交通渋滞が発生しやすくなっていることもあり、スピード配送に対応できないケースも出てきました。

燃料の高騰

かつては、1リットルあたり100円を切る価格でガソリンや軽油を購入できましたが、それはもはや過去の話です。オイルショックやリーマンショック、新型コロナウイルスの世界的な流行、ロシアのウクライナ侵攻などを経て、燃料の価格は驚くほど高騰しました。

現在、ガソリンは1リットルあたり約150~180円、軽油は約130~160円です。業務にトラックを使用する物流企業にとって、これは大きな痛手です。

トラックを走行させるための燃料が高騰すると、経費が余計にかかります。結果的に利益を圧迫し、事業の継続すら危ぶまれる状況に陥るかもしれません。燃料の高騰に伴う配送料の値上げを行えればよいのですが、これも現実的ではありません。つまり、このような状況下でも物流企業は黙って我慢するしかないのが現状です。